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【アダルトチルドレン】兄弟順とアダルトチルドレンの役割|生まれた順番が役割に与える影響

心理学
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要約
家庭の中で「親の役割を担う子ども」になってしまう現象は、学術的には「親役割化(parentification)」と呼ばれます。これはアダルトチルドレン(AC)の典型的な役割の一つで、兄弟順によってなりやすいパターンがあります。この記事では最新研究を踏まえ、兄弟順ごとの役割傾向と、悪影響をやわらげる「心を守る要素(保護因子)」、さらに回復のヒントを解説します。


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アダルトチルドレンとは?

親の役割を担う子ども(親役割化)

アダルトチルドレンとは、機能不全家庭で育ち、その影響を大人になっても抱えやすい人のことを指します。
とくに「親の役割を担う子ども」は、親の世話や家族の調整を子どもが代わりに引き受ける状態を意味します。

代表的な役割タイプ

ケアテイカー(世話役)

●ヒーロー(優等生)

●ロストワン(目立たない子)

●スケープゴート(問題児)

●マスコット(ムードメーカー)


兄弟順とアダルトチルドレンの役割傾向

兄弟ポジションなりやすい役割背景成人後に出やすい課題心を守る要素(保護因子)
長子ヒーロー/ケアテイカー親の期待や責任を引き受けやすい完璧主義、燃え尽き症候群、自己肯定感の低下責任の再分配、境界をはっきりさせる、親からの感謝
中間子ロストワン/仲裁役上下に挟まれ空気を読むことで調整存在感の希薄化、「いてもいなくてもいい」という感覚承認体験、感情を表現できる場、外部の支え
末子スケープゴート/マスコット問題行動やユーモアで家庭の緊張を和らげる自己評価の揺らぎ、孤独感、誤解されやすい肯定的な役割の再構築、一貫した支援、安心できる仲間
一人っ子複数の役割を兼任親の期待も不満も一身に背負う責任過多、境界のあいまいさ、過度なストレス外部支援やピア関係の強化、自分の時間を確保する

研究が示す「心を守る要素」

  • 家族や親からの承認・感謝:「あなたがいて助かる」と伝えられること
  • 公平な役割分担と境界の明確化:子どもに背負わせすぎない仕組み
  • 外部からの支え:きょうだい・友人・学校・地域のサポート
  • ポジティブな意味づけ:「責任を担うこと=自分の存在価値」ではなく「自分の気持ちも大切にできる」

不適応スキーマとの関係

親の役割を担う子どもは、以下のような「不適応スキーマ(生きづらさの元になる思い込み)」を抱えやすいと研究で示されています。

  • 自己犠牲スキーマ:「人を助けないと自分には価値がない」
  • 従属スキーマ:「自分の意見を言うと嫌われる」
  • 情緒的剥奪スキーマ:「自分は理解されない」

これらが強まると、成人後に不安・抑うつ・対人関係の困難を引き起こしやすくなります。


今日からできる心を守る工夫(実践編)

  1. 役割の棚卸し:「これは自分の責任?それとも本来は親の責任?」を書き出す
  2. 境界を言語化する:「今は自分の勉強時間にしたい」など、Iメッセージで伝える
  3. 支えを求める勇気:兄弟・親族・学校・地域のサポートを利用する
  4. 意味づけを変える:「助けなければ価値がない」から「自分も大切にしていい」へ
  5. 専門家に相談:強い不安や抑うつ、自傷衝動がある場合は医療機関へ

まとめ

  • 兄弟順はアダルトチルドレンの役割傾向に影響を与えるが、必ずそうなるわけではない
  • 「心を守る要素(支え・境界・外部からのサポート)」があれば、逆境が成長の力になることもある
  • 自分や家族の役割を振り返ることが、回復と安心への第一歩になる

参考文献リスト

  1. Parentification Vulnerability, Reactivity, Resilience, and Thriving: A Mixed Methods Systematic Literature Review — JK Dariotis et al. (2023)
     親役割化(子どもが大人の責任を引き受ける状態)の研究を95本レビューし、リスク・回復要因を体系的に整理。兄弟順なども含む複数の因子を考察。
  2. A Systematic Review and Meta-Analysis of Maladaptive (Early) Schemas — Uvelli et al. (2025)
     不適応スキーマの種類と暴力被害等との関連を整理したメタ分析。どのスキーマが心理的被害や不適応と強く結びつくかを定量的に示す。
  3. Early Maladaptive Schemas Mediate the Relationship Between Childhood Trauma and Interpersonal Problems — Aloi et al. (2025)
     幼少期トラウマ → 不適応スキーマ → 対人関係の問題 という媒介モデルを検証。親役割化との重なりのある思い込みパターンを示す。
  4. Early maladaptive schemas and intimate partner violence victimization and perpetration: A systematic review and meta-analysis — Pilkington et al. (2021)
     不適応スキーマが親密なパートナー関係の暴力被害/加害とどのように関連するかを調べたレビューとメタ分析。スキーマ理論の社会的・対人関係的応用に関する示唆あり。
  5. Early maladaptive schemas and their impact on parenting — K. Sójta et al. (2023)
     親自身の不適応スキーマと養育態度・親子関係との関連を調査。親の背景が子どもの環境(親の役割を子どもが担う状況など)にどう影響するかを明らかにした。
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