「子どもを欲しくない」と感じるとき、多くの人は「周りと違う自分はおかしいのでは」「異常だと思われるのでは」と不安になります。
しかし、国内外の研究はこの気持ちを「異常」とは捉えていません。むしろ近年は子どもを望まない人が増えていることを示しています。
この記事では2025年9月時点での国内外の最新データと心理学・社会学の視点から、「子どもを欲しくない」感情を整理し、安心して自分の選択を受け入れるためのヒントを紹介します。
最新研究データから見る「子どもを欲しくない人」の実態
国外の最新データ
Pew Research Center(2024年)
「The Experiences of U.S. Adults Who Don’t Have Children」によると、18〜49歳で「子どもを持たない」と答えた人の多くが「ただ欲しくないから」と回答。

Michigan State University(2025年)
「MSU study finds number of US nonparents who never want children is growing」では、「絶対に子どもを持たない」と答える人の割合が2002年14%→2023年29%へ倍増。

国内の最新データ
日本大学・末冨芳教授ら(2025年)
15〜39歳の若者の過半数(52%以上)が「子どもを育てたくない」と回答。

国立社会保障・人口問題研究所(2019年) 守泉理恵
「日本における無子に関する研究」で、1960〜70年代生まれにおける「子どもを持たない割合」が年齢とともに上昇する傾向を報告。
守泉理恵「日本における無子男性に関する分析」
35歳未満男性で「無子志向型(意図的に子どもを持たない)」割合を分析。要因は低所得・恋人関係の欠如・子どもとの接触経験不足。
📑 日本における無子男性に関する分析(守泉理恵) 35歳未満男性の「無子志向型」を中心に、低所得・パートナー不在・子どもとの接触経験などの関連要因を検討。無子選択の社会経済的背景を明らかにする資料。
国内調査(2023年)
18〜45歳対象調査では「子どもを持たない理由」のトップは「経済的不安」。
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【国内調査】子どもを持たない理由:最多は「経済的不安」(18〜45歳)
日本の若年〜中年層を対象とした意識調査。子どもを持たない/持ちたくない理由として、経済的不安・働き方・将来設計などが上位に。
「異常ではない」とする心理・社会の視点
価値観の多様性は前提
子どもを持つ/持たないは「人生設計の違い」であり、医学的診断の対象ではありません。
- 例)「仕事のやりがいを優先したい」「健康上の理由」「パートナーと二人の生活を大切にしたい」などはすべて合理的な判断です。
経済・社会構造の影響
国内調査では理由の最多が「経済的不安」。長時間労働や教育費の高さなど環境要因によって「持たない」選択をする人も多く存在します。
文化的圧力が不安を強める
「結婚=出産」という価値観や親族の期待、メディアの少子化対策報道などが、持たない選択を「異常」と感じさせる要因となります。
「異常」と感じてしまう心理的背景
家族や職場からの期待
繰り返し「子どもは当然」と言われる環境は、自分を“おかしいのでは”と思わせやすくします。
社会的メッセージとの混線
出生率や対策が強調されると「私は社会に逆らっているのか」と錯覚しやすくなります。
将来不安
「孤独になるのでは」「老後に困るのでは」という漠然とした恐れは、不安を大きくします。不安を具体化して対策に変えることが有効です。
安心して自分の選択を育てるためにできること
同じ価値観を共有する
SNSや書籍で「childfree」や「意図的無子」の体験談を読むことで「自分だけではない」と感じられます。
自分の基準を明確にする
- 大事にしたいこと(自由時間・趣味・健康など)
- やりたくないこと(過度な負担・キャリアの停滞など)
- 今できること(貯蓄・生活設計)
→ 書き出すことで「後悔しない基準」が明確になります。
パートナーと安心して話す
「今はこう考えているけれど、また一緒に見直そう」と期限を区切って共有すると対話がしやすくなります。
専門家に相談する
不安や罪悪感が長く続く場合は、臨床心理士・公認心理師などに早めに相談しましょう。自治体の「こころの健康相談」も活用できます。
結論
「子どもを欲しくない」という気持ちは、異常でも特殊でもなく、自然な価値観のひとつです。
最新データは「子どもを望まない人が増えている」ことを示しており、日本では経済や社会環境の要因も大きな背景になっています。
大切なのは、社会の期待と自分の幸せを混同しないこと。自分の価値観を尊重しつつ、必要なら専門家に相談することで、安心して自分の選択を生きることができます。
免責事項
本記事は心理学・社会学・統計調査に基づいた一般情報をまとめたものであり、医学的診断や治療を目的とするものではありません。強い不安や悩みを抱えている場合は、精神科医・臨床心理士・公認心理師などの専門家へご相談ください。


