【2025年最新】「マウントを取る人」の深層心理と対処法-心理学・脳科学の視点から紐解く

日常会話やSNSで、自身の優位性を誇示し、相手を見下すような態度をとる「マウント」。

この行動は、単なる性格の問題ではなく、心理学的な防衛機制や社会的地位への不安が複雑に絡み合った現象です。

本記事では、2025年の最新研究を含む信頼性の高い文献に基づき、マウント行動の背後にある心理メカニズムと、科学的に効果的な対処法を解説します。

1. マウントの正体：ナルシシズムの「敵対性」と自尊心の低下

最新の心理学研究において、マウント行動は「ナルシシズム（自己愛）」の特定の側面と強く関連していることが明らかになっています。

2025年の研究（Narcissistic Admiration, Narcissistic Rivalry, and Self-Esteem Across Cultures）によると、ナルシシズムには以下の2つの側面があります。

ナルシシスティック・アドミラレーション（称賛獲得）: 「自分はすごい」とアピールし、他者からの称賛を求める。
ナルシシスティック・ライバルリー（敵対心）: 他者を見下し、攻撃することで自分の優位性を保とうとする。

あんみつ

マウント行動はナルシシズムから発生する行動なんだね

マウント行動は、後者の「ライバルリー（敵対心）」に該当します。

ここで重要なのは、称賛を求めるタイプは自尊心が高い傾向にあるのに対し、敵対的なマウントを取るタイプは自尊心が低い傾向にあるという点です。

マウントを取ろうとする人は自分の価値を内面的に確信できていないため、他者を下げることで相対的に自分を保とうとする「引き下げの心理」が働いています。

2. 「ドミナンス（支配）」と「プレステージ（信望）」の乖離

進化心理学の分野では、人が社会的地位を得る方法には2つのルートがあるとされています。

プレステージ（信望）: 知識や技術、人徳によって周囲から自然と尊敬を集めること。
ドミナンス（支配）: 威圧や攻撃的な態度によって、無理やり他者を従わせようとすること。

自信がある人は「プレステージ」によって地位を確立しますが、マウントを取る人は「ドミナンス」の戦略をとります。研究によると、このドミナンス行動は、傲慢な誇り（Hubristic Pride）と関連しており、これは不安定な自尊心や社会的拒絶への恐怖から生じることが示唆されています。つまり、マウントとは「実力で尊敬を得られない人が選ぶ、地位確保のための最終手段」と言えるのです。

3. ステータス・インセキュリティ（地位不安）の悪循環

近年の消費者心理学の研究では、「ステータス・インセキュリティ（社会的地位への不安）」という概念が注目されています。

これは、自分の社会的立ち位置が脅かされていると感じる心理状態を指します。

2024年から2025年にかけての関連研究によれば、経済的・社会的な不安が高い人ほど、高級ブランドのロゴを誇示したり、知識をひけらかしたりする「代償的消費（Compensatory Consumption）」や「代償的コミュニケーション」を行う傾向が強まります。

マウント行動は、この「不安の穴埋め」の一種です。

しかし、一時的に優越感を得ても根本的な不安は解消されないため、さらに過激なマウントを繰り返すという「地位不安の悪循環」に陥ってしまいます。

高級ブランドでがっちり固めた人には真のお金持ちと、不安な気持ちを隠したい人がいるケロね

フロップ

あんみつ

いつになく辛口ね…！ブランドで固めた人に何か嫌な思い出があるのかな？

……。

フロップ

科学的根拠に基づいた「最強の対処法」

相手の心理が「自信のなさ」や「不安」にあることを踏まえると、感情的に反論するのは逆効果です。相手は「敵対心（ライバルリー）」のスイッチが入っているため、反論を「攻撃」と見なし、さらに攻撃性を強めます。

1. 「承認」による武装解除 ドミナンス戦略をとる人は、自分の力が認められないことを恐れています。「さすがですね」「勉強になります」と、相手の承認欲求を最小限のコストで満たすことで、攻撃の動機を消滅させることができます。これは相手への屈服ではなく、相手の心理をコントロールする戦略です。

2. プレステージ（信望）の維持 相手と同じ土俵（ドミナンスの争い）に乗らないことが重要です。あなたは冷静さや礼儀正しさを保ち、「プレステージ（信望）」のルートで周囲の信頼を得ることに集中してください。周囲は、威圧的な人よりも、知的で冷静な人に信頼を寄せます。

3. 物理的・心理的な距離の確保 マウント行動は、ナルシシズムや他者への共感性の欠如といったパーソナリティ特性に根ざしている場合が多く、短期間で相手を変えることは困難です。まともに受け止めず、「この人は今、地位不安を感じているのだな」と分析的な視点を持つことで、心理的なダメージを防いでください。

参考文献

本記事は、以下の心理学・社会科学分野の学術的知見を参考に構成しています。

Narcissistic Admiration, Narcissistic Rivalry, and Self-Esteem Across Cultures: The Moderating Role of Individualism–Collectivism (2025). ナルシシズムの「敵対的側面（ライバルリー）」と自尊心の低下との関連性を示した国際的な研究。マウント行動が低い自尊心の裏返しであることを裏付けています。
The Dominance Behavioral System and Psychopathology (PubMed Central). 社会的地位を得るための「ドミナンス（支配）」行動と「プレステージ（信望）」の違い、および精神病理との関連についての研究。
Authentic and Hubristic Pride: Differential Relations to Aspects of Goal Regulation, Affect, and Self-Control (NIH). 「正当な誇り」と「傲慢な誇り（マウントにつながる心理）」の違いを明確化した研究。
How Insecure Narcissists Become Cultural Omnivores: Consuming Highbrow Culture for Status Seeking (ResearchGate). 不安を抱えるナルシシストが、ステータス維持のためにどのように知識や文化を利用するか（マウントの一形態）を分析した研究。
Status Insecurity and Manipulative Self-presentation (Journal of Selection and Assessment). 地位への不安が、職場などでの操作的な自己提示（マウントや威嚇）につながるメカニズムを解説した研究。