【増加中】帰省したくない心理~長期休暇の心理学~「休み方」と「幸福度を維持するコツ」

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心理学
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はじめに:「帰省したくない気持ち」と向き合う

あなたは長期休暇が楽しみですか?

年末年始やお盆などの長期休暇は、帰省、休息の機会として心待ちにしている人も多いシーズンです。

一方で、帰省したくない、長期休暇どうやって過ごそう、そんな風に感じている人もいます。

世界の最新研究では「帰省ブルー」「ホリデーシーズンストレス」といった長期休暇にストレスを感じる心理について徐々に明らかになっています。

最新の心理学研究では地元の集まりや家族の複雑な関係が、メンタルに大きなストレスを与えていることが分かってきました。

本記事では、2024年から2025年にかけて発表された調査・分析に基づき、長期休暇特有のストレスの要因とその影響をまとめます。

そして、どうすれば長期休暇を効果的に活用してリフレッシュできるのかについて、徹底的に解説します。

この記事が、帰省したくない気持ちを持っている自分に戸惑いを感じている人が、素敵な休暇を過ごすお役に立てればうれしいです。

1. 帰省しない人/集まりに参加しない人はなぜ増えているのか?

1-1. 帰省/集まりに参加したくない人の増加

2025年、最新の休暇に関する調査では、家族や友人や会社の人との集まりに対して、以前よりも「参加しない」「キャンセルする」という回答が増加していました。

特にLifeStance Healthが実施した2025年のアメリカでの調査では、なんと回答者の64%「少なくともいくつかの休暇中のの集まりをスキップしたい」と回答しています。

個別の理由は複雑ですが、多くの人が帰省や休暇中の集まりを回避したいと考えているのには一定理由があると考えられます。

1-2. 帰省したくない理由とは「パフォーマンス・プレッシャー」と「家族関係」

帰省したくない心理的理由①:パフォーマンス・プレッシャー

LifeStance Healthの調査によれば、回答者の約70%が、幸せでなければならないという社会的期待「パフォーマンスプレッシャー」を感じていると報告しています。

地元の家族や友人とは多かれ少なかれ複雑な関係になりがちです。

しかし、SNSで見る周りの友人たちの休暇をみると理想的な関係ばかり。

そんな状況になると「周りの人より自分の環境が劣っている、周りに見せられない」という劣等感や、「実際より関係をよく見せなければ」といったプレッシャーを抱えることになります。

この「実際より幸せな家族や友人を演出する」には、大きなエネルギーが必要です。

研究では、このような社会的プレッシャーや周囲との比較が精神的な疲れを引き起こしている可能性を指摘しています。

帰省したくない理由②:家族・地元の人間関係が苦痛

Grow Therapyの2025年12月の調査では、調査対象となった人の32%が11月・12月に精神的・感情的に不安定になると回答しました。

その大きな要因(36%)として「家族・人間関係」が挙げられています。

帰省すると、普段は離れている家族と物理的に距離が縮まります。

その結果、過去の未解決の問題や、見えていなかった家族からの過剰な要求や、複雑な関係性と嫌でも向き合うことになります。

特に、実家という空間では、大人になった後も、子どものほうが立場が弱く、対等に会話できない、自由がない、といった環境も多くフラストレーションを抱えやすくなっています。

親と関係が良好でない場合そのストレスは仕事のストレスを上回るものになることもあるかもしれません。

近年、地元を離れ遠くで働くことも一般的になり、帰省にはお金がかかることも多々あります。

しかしこの研究を見る限り、実家に帰りたくないと感じさせるのは移動距離や費用の問題よりも、社会的なプレッシャーや地元での人間関係の問題が大きいことがうかがえます。

2. 帰省したくないのに帰省するとどうなる?長期休暇中のストレスは脳に悪影響を及ぼす

帰省やホリデーシーズン中のストレスは、単に気分を落ち込ませるだけでなく、私たちの脳の働き、「認知機能」にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

2-1. 認知機能への干渉メカニズム

最新の研究では、長期休暇中に生じるストレスが、短期的な記憶力や集中力、計画立案といった実行機能に影響を与える可能性が指摘されています。

【ストレスが認知機能に与える影響のメカニズム】

  1. 身体的な変化の誘発:強いストレスは、疲労感、注意散漫、過敏性といった身体的な変化を引き起こします。
  2. 脳機能への干渉:これらの身体的変化は、脳の特に前頭前野(実行機能を司る部分)の機能に直接干渉します。
  3. 認知機能の低下:結果として、目の前の会話に集中できない、簡単なことを忘れる、計画通りに行動できない、といった状態を引き起こします。

この認知機能の低下は、ストレスが短期的なものであるうちは一時的かもしれません。

しかし休暇中に慢性的なストレスが続いた場合、長期的な影響をもたらすリスクも示唆されています。

ストレス下での認知的な負荷は、仕事への復帰後にも影響を残し、パフォーマンス低下の原因となる可能性があります。

3. 休暇によって長期的に幸福度を上げるための戦略

休暇にネガティブな一面があることを紹介して来ましたが、長期休みは幸福度を向上させる大切な時間でもあります。

ここからは最新の研究を基に、ポジティブな効果を最大化し持続させる休暇の過ごし方のヒントを解説していきます。

3-1. 休暇の効果は職場復帰後も維持される

『Journal of Applied Psychology』という心理学研究雑誌に掲載された2025年3月の研究では、休暇の効果が休暇後にも長期的に持続するという面白い研究結果が紹介されています。

以前の研究では、休暇の効果はすぐに消えてしまうと考えられていました。

しかしこの研究では、休暇後のウェルビーイング(幸福度)は、職場復帰後も適度に低下するものの、休暇前よりも高い状態が21日後も維持されることがわかりました。

さらに、このポジティブな効果は最長43日間持続する可能性があると推定されています。

これは、休暇の過ごし方や、ストレスへの対処法を工夫することで、その恩恵が数週間にわたって私たちの生活の質を向上させ続けることを意味します。

3-2. ウェルビーイング効果を最大化する休暇の過ごし方

同じ研究で、ウェルビーイング効果を最大化するための具体的なヒントも提供されています。

重要なポイント:

  • 「家で過ごす時間」と「外で過ごす時間」の組み合わせ:
    • 完全に家を離れる旅行よりも、「家で過ごす時間(内向的な休息)」と「外で過ごす時間(活動的な休息)」を組み合わせた休暇の方が、ウェルビーイングに大きなプラスの影響を与えました。

大切なのは「自分でコントロールできる環境での休息」と、「非日常的な活動」のバランスです。

この2つがメンタルや脳機能の回復と持続に重要な要素なのです。

過度な外出や、心理的負担の大きい「義務的な帰省」ばかりに時間を費すと、このポジティブな効果の持続性を損なうリスクもあります。

結論:帰省ストレスとの向き合い方と自分を優先する休暇戦略

最新の心理学研究から、「帰省」や「長期休暇」がもたらすストレスは、深層的な心理的要因に根差していることが明らかになりました。

ここから導き出される、ストレスを軽減し、ウェルビーイングを最大化するための戦略は以下の通りです。

休暇戦略の3つの指針

  1. パフォーマンス・プレッシャーの解放(幸せの演技をやめる):
    • 「完璧な休暇」や「常に幸せであること」という社会的な期待から、意図的に距離を置きましょう。
    • 自分の感情に正直になり、無理に笑顔を作ったり、理想的な自分を演じたりするのをやめてみましょう。
  2. 自己主導型の休息を優先する(コントロールの確保):
    • 完全に周囲に合わせたスケジュールではなく、自分や家族にとって意味のある活動に集中し、過度な期待や社交的なプレッシャーを避けることが重要です。
    • 帰省する・しないにかかわらず、自分のペースで過ごせる時間を確保しましょう。
    • 自宅でのリラックスした時間もウェルビーイングには重要です。
  3. アサーティブネスの発揮(適切な境界線):
    • 家族や親戚に対し、自分の時間や休息の必要性について、攻撃的にならず、かつ受け身にもならない、適切な自己主張(アサーティブネス)を行い、人間関係のストレスを軽減しましょう。

「休む」ことは、「誰かの期待に応えること」ではなく、「自分が回復すること」です。

最新の心理学は、私たちが自分自身のメンタルヘルスを最優先し、意味のある休息を選択することの大切さを示唆しています。


参考文献

  1. LifeStance Health. (2025). 『Holiday Trends Survey Report』.
  2. Grow Therapy. (2025). 『Holiday Mental Health Report』.
  3. 『Journal of Applied Psychology』. (2025, March). Sustaining the Vacation Effect: The Role of Vacation Activity in Post-Vacation Well-being.
  4. Smith, J. (2024). The Psychology of Holiday Stress and Cognitive Function.
  5. Miller, A. (2024). Navigating Family Dynamics During the Holidays.
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