「どうして自分はこんなに自信が持てないんだろう」
「周りの人は普通にできるのに、自分だけが欠けている気がする」
こうした気持ちに苦しむ人は多く、現代では“自己肯定感の低さ”は大きなテーマになっています。
しかし自己肯定感は、生まれ持った性格ではなく心理的なクセによって形作られます。そのクセは大きく分けて次の3つ。
- ■ 自己肯定感が低い原因は“3つの思い込み”に集約される
- ◆ ロジャーズの「自己一致」と自己肯定感
- ◆ 認知行動療法(CBT)が明らかにした“自動思考”の影響
- ◆ バンデューラの自己効力感と行動
- ◆ 原因①:「私はダメだ」と決めつける認知の歪み
- ◆ 原因②:「あの人に比べて…」と落ち込む比較癖
- ◆ 原因③:「できていない自分は価値がない」という条件付き承認
- ◆ ステップ1:自動思考を書き出して客観視する
- ◆ ステップ2:比較対象を“他人”から“過去の自分”へ
- ◆ ステップ3:1日3つの「自分を認める記録」をつける
- ◆ ステップ4:行動を増やして「できた体験」を積み上げる
- ◆ ステップ5:自分の価値観に沿った行動を選択する(ACT)
- ■ 参考文献
■ 自己肯定感が低い原因は“3つの思い込み”に集約される
① 認知の歪み(ネガティブな捉え方のクセ)
② 比較癖(自分と他人を比べてしまうクセ)
③ 承認不足(自分の価値を感じられない環境や経験)
これらが長期的に続くことで、
「自分には価値がない」
という根深い信念につながります。
では、この“思い込み”がどのように形成されるのか、心理学の最新研究から分かりやすく解説していきます。
■ 心理学研究が示す自己肯定感のメカニズム
◆ ロジャーズの「自己一致」と自己肯定感
心理学者カール・ロジャーズは、自己肯定感の土台は
「本来の自分(経験)と、こうありたい自分(自己概念)が一致しているか」
で決まると提唱しました。
しかし自己肯定感が低い人は、
- 褒められても素直に受け取れない
- 小さな失敗を人格否定として捉える
- 理想が高く「まだ足りない」と感じやすい
など、“自己一致”が起こりにくい傾向があります。
◆ 認知行動療法(CBT)が明らかにした“自動思考”の影響
CBTでは、
思考 → 感情 → 行動
という流れで感情が生まれるとされます。
自己肯定感が低い人には、
「どうせ失敗する」「私は価値がない」
など、根拠のない自動思考が多く見られます。
これを放置すると、
→ 落ち込む
→ 行動できない
→ 成功体験が減る
→ さらに自己肯定感が下がる
という悪循環が起きます。
◆ バンデューラの自己効力感と行動
バンデューラの研究では、「できた経験」(成功体験)が増えるほど自信が高まると報告されています。
つまり、
行動が先、自己肯定感は後からついてくる
ということです。
■ 自己肯定感が下がる3つの思い込みを詳しく解説
◆ 原因①:「私はダメだ」と決めつける認知の歪み
代表的な例は以下の通り。
- 全か無か思考
- 過度の一般化
- 心の読みすぎ
- 過小評価
これらは主観による“思い込み”ですが、本人には事実のように感じられます。
▼ 例
上司に注意された → 「私は仕事ができない人間だ」
他人は「ここを直したらもっと良くなるよ」と言っているだけなのに、自動思考が「失敗=価値がない」に変換してしまうのです。
◆ 原因②:「あの人に比べて…」と落ち込む比較癖
SNSの普及により比較癖は強化されています。
研究では、SNSを見ている時間が長いほど
- 自己評価が低くなる
- 他人の成功に落ち込みやすくなる
などの影響が報告されています。
比較癖が強い人は、
他人の“完成した部分”と、自分の“途中経過”を比べている
ことが非常に多いのです。
◆ 原因③:「できていない自分は価値がない」という条件付き承認
幼少期の体験や大人になってからの人間関係も影響します。
- 失敗すると強く叱られた
- 感情を受け止めてもらえなかった
- 成果が出たときだけ褒められた
こうした経験が積み重なると、
「何かができない自分には価値がない」
という条件付き自己肯定感が作られます。
■ 今日からできる自己肯定感を高める改善ステップ5つ
◆ ステップ1:自動思考を書き出して客観視する
「どうせダメだ」
「嫌われているに違いない」
などの思考を書き出すだけで、自分の心のクセが見えてきます。
▼ 書き出すポイント
- その思考の根拠はあるか?
- 別の解釈はできないか?
- 他人が同じ状況ならどう声をかけるか?
これはCBTで効果が立証されている方法です。
◆ ステップ2:比較対象を“他人”から“過去の自分”へ
比較癖を弱める最も有効な方法は、
“昨日の自分”との比較に切り替えること。
- 1日1つ成長したことを書く
- 昨日より丁寧にできた行動を記録する
小さな比較が積み重なると、自己効力感が急速に高まります。
◆ ステップ3:1日3つの「自分を認める記録」をつける
研究によって効果が証明されている、自己肯定感アップ法です。
例:
- 仕事を丁寧にこなした
- 優しい言葉をかけられた
- 落ち着いて対応できた
“できたこと”でなくてもかまいません。
大切なのは、自分の行動や感情を受け取る力を育てることです。
◆ ステップ4:行動を増やして「できた体験」を積み上げる
自己効力感は「成功体験」によって強くなります。
- 5分だけ掃除
- 10分だけ散歩
- 小さなタスクを1つ終える
こうした小さな成功の積み重ねが、
自己肯定感を底から押し上げる最大の要因です。
◆ ステップ5:自分の価値観に沿った行動を選択する(ACT)
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、
価値観(Value)に沿った行動が自己肯定感を安定させるとされています。
例:
「人に優しくしたい」という価値観 → 丁寧な言葉を使う
「成長したい」という価値観 → 毎日1つ学習する
価値観に沿って生きると、
「自分はこれでいいんだ」
という感覚が自然に育ちます。
■ 自己肯定感を高めるのに役立つ心理学本
● 『嫌われる勇気』
比較や劣等感から自由になる考え方がわかりやすい。
● 『マンガでわかる認知行動療法』
自動思考の扱い方が初心者にも理解しやすい。
● 『ACTの教科書』
価値観に基づく生き方を深く学べる。
■ まとめ:1週間で実践できる自己肯定感アップ行動リスト
| 日 | 行動内容 |
|---|---|
| 1日目 | ネガティブ思考を書き出す |
| 2日目 | 他人との比較をやめ、昨日の自分と比較 |
| 3日目 | 自己承認を3つ書く |
| 4日目 | 小さなタスクを1つ実行 |
| 5日目 | 自分の価値観を紙に書く |
| 6日目 | 価値観に沿った行動を1つ実行 |
| 7日目 | 1週間の成長を振り返る |
この7日間を繰り返すだけで、
「自分を大切にする力」が確実に育ちます。
■ 参考文献
Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. W.H. Freeman.
Beck, A. T. (1976). Cognitive therapy and the emotional disorders. Penguin.
Emmons, R. A., & McCullough, M. E. (2003). Counting blessings versus burdens. Journal of Personality and Social Psychology, 84(2), 377–389.
Hayes, S. C. (2021). Acceptance and Commitment Therapy: Advances and Applications. Behavior Therapy, 52(1), 5–17.
Moreira, H. et al. (2020). The role of parental acceptance in self-esteem: A meta-analysis. Journal of Child and Family Studies, 29(2), 333–347.
Rogers, C. (1959). A theory of therapy, personality, and interpersonal relationships. Psychology: A Study of a Science.
Sowislo, J. F., & Orth, U. (2013). Does low self-esteem predict depression? Psychological Bulletin, 139(1), 213–240.
Vogel, E. A. et al. (2014). Social comparison and Facebook: Associations with self-esteem. Journal of Social and Clinical Psychology, 33(8), 701–731.
