ロストワンとは?
アダルトチルドレン(AC)の研究や臨床現場では、子どもが家庭の中で果たす「役割」をいくつかに区別して話すことがあります。代表的なものに以下のものがあります。
- ヒーロー:家族を支える優等生的な役割
- スケープゴート:問題行動を引き受ける役割
- ケアテイカー:大人の代わりになって世話をする役割
- ロストワン:存在感を消し、家庭内で目立たない役割
この中でロストワンは役割の性質上「感情が希薄」「おとなしいが幼く見える」と語られることがあります。
この記事ではそんなロストワンの性質と「幼く見える」と言われる原因について掘り下げていきます。
アダルドチルドレンの役割によって、周りの人からの見え方に傾向があるのかな?
科学的根拠としてエビデンスはあまりでていないケロ
でも、一般の会話の中で傾向が語られているのは僕も耳にしたことがあるケロ
それはなぜなのか?気になったので実証されている理論から考察したケロ
なぜロストワンは「幼く見える」と言われるのか?
1. 発達の停滞感
ロストワンは家庭で注目されず感情表現を抑えて育つことが多く、自己主張や人間関係のスキルが未熟なまま成長するケースがあります。
そのため「年齢に比べて幼い印象」を与えることがある可能性があります。
2. 無力感と受け身の態度
「自分は大切にされない」という学習が積み重なり、受け身の態度が身につくことがあります。
これが「頼りなさそう」「子どもっぽい」と見られる要因になっている可能性があります。
3. 自己表現の弱さ
存在感を消そうとする傾向が強いため、自分の気持ちを外に出すことが苦手です。
その結果、「大人らしさ」よりも「未熟さ」が目立ちやすくなっている可能性があります。
エビデンスはあるのか?
- 「ロストワンは必ず幼く見える」といった断定的な科学的証明はありません。
- ただし、臨床心理学や家族療法の古典的研究(Wegscheider-Cruse, 1981; Black, 1981など)では、ロストワンが「発達が停滞して見える」「幼い印象を持たれやすい」と記述されています。
- また、機能不全家庭で育った子どもが感情調整や社会的スキルに課題を抱えやすいことは複数の研究で示されています。これは「幼く見える」という臨床的な観察を裏付ける可能性があります。
サイトにたどり着いたロストワンに身近な人へ:誤解しないために
ここで重要なのは、「幼く見える=本人の努力不足」ではないことです。
ロストワンの特徴は、本人が意図的に選んだものではなく、家庭の環境に適応するための生存戦略でした。
- 幼さは「守られてこなかったこと」の裏返しかもしません
- 未熟さは「自分を表現できなかった結果」なのかもしれません
- その分、共感力や感受性の豊かさにつながることもあります
そして、なによりその人自身が持つ純粋さやあどけなさといった魅力的な個性だと思います。
この記事が少しでも皆様の自己理解、他者理解に役立つことを祈ります。
まとめ
「ロストワンは幼く見えるのか?」という疑問に対しては、
➡ 臨床的にはそのように観察されることが多いが、科学的に一律に断定できるものではない、と言えます。
そして、ロストワンとして育った人も、大人になってから自分らしさを回復していくことが可能です。
固定観念にこだわりすぎず、自分を知り、他者を知り一歩ずつできることに取り組んでいきたいですね。
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参考文献
- Wegscheider-Cruse, S. (1981). Another Chance: Hope and Health for the Alcoholic Family.
- Black, C. (1981). It Will Never Happen to Me.
- Dariotis, J. K., et al. (2023). Parentification Vulnerability, Reactivity, Resilience, and Thriving: A Mixed Methods Systematic Literature Review.
注意:本記事の内容は学術的知見や臨床的観察をもとにした一般的な解説です。診断や治療を目的としたものではなく、個々の状況に必ず当てはまるとは限りません。もし強い生きづらさを感じている場合は、専門のカウンセラーや医療機関にご相談ください。



