はじめに
私は大学生のときに ADHD(注意欠如・多動症) の診断を受けました。
現在は25歳でIT関係の仕事をしています。私が抱えているADHDの主な症状には以下のようなものがあります。
- 不注意によるミスが多い
- 優先順位をうまくつけられない
- 些細な失敗を繰り返し思い出して抜け出せない
- ワーキングメモリの少なさ
- 処理能力の遅さ
ADHDの診断を受けてから、私はその時々で「どう生きていくか」を模索してきました。
社会人になってからは医師に相談し、大学時代に一度やめていたADHDの薬(ストラテラ)の服薬を再開し、なんとか仕事を続けてきました。
とはいえ、この年齢で仕事はすでに3社目となり「ジョブホッパー」と言われても仕方のない状態です。
それでも一人暮らしをしながら一般就労を続けています。
そして「努力して変われば、周囲に認めてもらえるはず」という意気込みもむなしく、自分の特性を持ったままでは、定型発達が多数を占める社会で生きることは非常に難しい、という現実を認めざるを得ませんでした。
「低空飛行でもなんとか働いていきたい」と思う反面、心理的ストレスや体調不良、そして頻発するミスから「周囲も自分も自分のことを信頼できない」状況に苦しんでいました。
その状況を打開する一つの支えとなればと思い、今回はじめて障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳) を申請する決断をしました。
「自分に手帳なんて必要なのかな?」と長く迷いましたが、「手帳を取得することに大きなデメリットはない」という情報を信じ、思い切って申し込むことにしたのです。
この記事では、私の体験談を交えながら 精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリット をまとめ、一般的に言われていることと実際に感じた違いについて書いていきます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
手帳をとろうと思ったきっかけ
私が手帳の取得を考えた理由は主に以下の3つです。
- 仕事でのミスが続き、周囲からの信頼を得ることが難しいと感じ始めた
- 「他の人と同じように頑張らなければ」と自分を追い込み、心身ともに疲弊してしまった
- 発達障害的な特性がある同僚が「やる気がない人」と評価されているのを知り、自分もそう思われるのではないかと強く不安になった
特に3つ目は大きなきっかけでした。
「もし自分の特性を正直に伝え、診断を受けた上で申請できるなら、せめて努力していることを理解してもらえるよう準備したい」と考えたのです。
手帳申請のプロセス/流れ
1. 主治医に相談
かかりつけの精神科で「手帳を考えています」と相談。初診から1年半以上経っており、毎月通院・服薬を続けていたため、主治医も快く診断書を書いてくれました。
2. 必要書類の準備
- 医師の診断書(専用フォーマット/私の場合は市のホームページから取得し印刷して持参)
- 証明写真
- 印鑑
3. 市役所で申請
市役所の福祉課で申請。職員の方が丁寧に案内してくれ、無事に書類を提出できました。
4. 交付までの待ち時間
申請から約2か月後、精神障害者保健福祉手帳3級 が交付されました。
一般的に言われるメリットと私の体験
1. 就労面での支援
- 障害者雇用枠での就職・転職が可能
→ 制度としては可能ですが、私の地域では求人自体が少なく、月給10万円前後のものばかりで応募には至っていません。 - 職場での配慮を受けやすい
→ 私は一般就労で障害を隠して働いているため、今のところ配慮を受けられていません。
2. 経済的な優遇
- 税金の障害者控除
→ 年末調整で申告予定です。手帳を取得していることを会社にカミングアウトしている場合は会社で処理してくれるようなのですが私は自分でこっそり申告予定です。控除が増えて支払った税金が一部還付されるのはとても助かります。 - 公共交通機関の割引
→ JR割引は100km以上の移動が条件。日常的には恩恵を受けられていません。バスの半額割引もありますが、人前で手帳を提示するハードルが高く、まだ利用できていません。 - JAL/ANAの航空券割引
→ 今後ぜひ使いたい制度の一つです。 - 携帯電話・NHK受信料の減免
→ NHKは私がTVを持っていないのであまり関係のない制度でした。携帯割引は調査中です。
3. 医療・生活支援
- 自立支援医療制度で医療費が1割負担
→ すでに利用していたため、変化はなし。 - 公共施設の割引
→ 映画館は500円、博物館・美術館も格安で利用でき、これは素直に嬉しいメリットでした。
4. 心理的メリット
- 「制度に守られている」という安心感
→ まだ実感は薄いです。 - 特性をオープンにできる根拠になる
→ 私はまだカミングアウトできていませんが、診断書以上の裏付けとして力を持つと感じています。
一般的に言われるデメリットと私の体験
1. 社会的なイメージがよくない
→個人の感想ですがこれは正直感じるところではあります。周囲の反応からではなく自分自身でも「障害者」というラベルに抵抗を感じ、自信を失うこともあります。
特に「精神障害者」という言葉はインパクトの強い言葉だと感じています。周りの人に精神障がい者だと思われたら敬遠されてしまうのではという不安があるのは否定できません。
2. 会社に障害のことがばれる
→いまのところ会社にはばれていません。
自分が話さない限り手帳を取得していることは隠すことができそうです。
精神障害者保健福祉手帳3級/私が感じたメリット・デメリットまとめ
メリット
- 映画館・博物館・美術館などの割引
- JAL・ANAの航空割引
- 障害者雇用枠の求人に応募可能
- 携帯料金の割引が受けられる可能性
- 将来的に合理的配慮を申請する際の根拠になる
- 税金の控除を受けられる
デメリット
- 「障害者」と公的に認められたことで自己肯定感が下がった
- 周囲に知られるのではないかという不安がある
まとめ
精神障害者保健福祉手帳は経済的なメリットや就労支援の制度 は存在しますが、それを実際に活用できるかどうかは住んでいる地域やライフスタイルによって大きく差異があると実感しました。
私の感想を大まかにまとめると「思ったより日常生活に変化はなく、デメリットを考慮してもどちらかというとメリットが大きい」といったところかと思います。
特に、障がい者求人への応募資格、税制等の金銭的優遇を受けられることはメリットとして大きいと考えています。
デメリットは実際とても少なく、もし申請して取得できる状況であれば所持するのも選択肢として大いにありだと感じています。
この記事が皆さんの手帳取得に関するお悩みに少しでも役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。