はじめに
「子どもが欲しいと思えない」──そんな悩みをかかえていませんか。
社会的な価値観の変化、経済的不安——
そして個人のライフスタイルの多様化により、「子どもを持つかどうか」は一人ひとりが自由に選択できる時代になりました。
とはいえ、「子どもを持つか持たないか」は自分だけの問題ではないこともあります。
パートナーや両親、友人の多くが「子どもを持つのは当然」と考えていることもあるでしょう。
その中で、
- 「自分ははどうして子どもを持ちたいと思えないのか?」
- 「なぜあの人は子どもを持ちたいと思ってくれないのか?」
そんな葛藤を抱える人も少なくありません。
この記事を書いている私自身も、なかなか「子どもが欲しい」と素直に思えず悩んでいる人間のひとりです。
そこで今回は、男性の場合・女性の場合に分けて「子どもが欲しくならない理由」を心理学・社会学的な視点から整理し、最後に私自身の自己分析も交えてまとめてみました。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
男性の場合|子どもが欲しくならない理由
1. 経済的不安
- 教育費や生活費の高さに対するプレッシャー
- 住宅ローンや老後資金との両立への不安
- 「家族を養う責任」が大きな心理的負担になる
共働きが当たり前になりつつある現代でも、幼いころから男性は「一家を支えるもの」としての役割を期待されがちです。その意識から「もっと稼がなくては」「仕事を辞められない」と感じ、心理的に追い詰められることがあります。
実際、子育てにかかる費用は大きな金額です。現実的に試算した時、ナーバスになるのは当然の心理かと思います。最後にも触れますが、パートナーや頼れる人がいる場合相談してみるといいかもしれません。
利用できる子育て支援や補助金、高校無償化を実施している自治体などを調てみるのも不安を払しょくするために有効な方法です。
2. 自由を失う恐怖
- 趣味やキャリアに時間を使いたい
- 子どもができることで「自分の人生が制限される」と感じる
これは男女共通とも言えますが、自己実現を重視する人生設計の中に「子育て」が含まれていない場合、障害に感じることがあります。
共働き世帯も多い現代では、男性も出産、育児による休業や時短勤務が許される世の中へと変化しつつあります。しかしそれは、これまで女性が担ってきた子育ての役割を男性も担うことを意味しており、キャリアや趣味を大切にしている人には負担に思えるかもしれません。
どうやって子育て中自分をリフレッシュさせられるのか、どう仕事と子育てを両立するか、子どもをもとうかと考え始めれば必然的にそんな不安に行き当たります。そして、両立が不可能だという結論に至り、子どもを持たないという選択をする男性もいるでしょう。
3. 親との関係性
父親や母親との関係が悪かった経験から「自分は良い父親になれないのでは」という不安を抱える人もいます。
私が以前お付き合いしていた方はあるときこんな話をしてくれました。
「自分は幼いころ父親に暴力を振るわれていた。絶対に自分の息子にはそんなことはしたくない。でもDVは連鎖するともいわれている、自分もやってしまうのではと不安で、今は子どもを持つことを考えられない」
こうした「負の連鎖」への恐怖が、子どもを望めない理由となるケースも少なくありません。
もしパートナーが理由を言いにくそうにしていたら、もしこんな風に打ち明けてくれたら、そっと見守りつつ一緒に解決策を探していけるといいですね。
私自身も不安定な家庭環境で育ち「いい親になれないかも」そんな不安を抱えています。今回この記事を書きながら、パートナーにこの不安のことを打ち明けてみてもいいかもしれない、そんな風に思えました。
4. パートナーとの価値観の違い
- 「子どもを持つ=夫婦のゴール」とは感じない
- 子育てを「妻に任せきりになるのでは」との葛藤
- 日々の生活でさえ余裕がない中、新しい命を育てることは現実的に考えられない
相手の女性のことを心から想い、一緒にいたいという思いで結婚し、二人の生活に子どもが必要ないという価値観の人もいます。パートナーがいない状態でも子どもの必要性を感じない人は一定数存在します。それは悪いことではなく、一つの価値観です。
また、毎日終電近くまで働いて土日は休息につとめ、生き絶え絶えでまた出勤している、そんな必死な毎日を送っている場合も、子どもが生まれることを負担と考えてしまう要因になるでしょう。
二人の生活にとって、自分の生活にとって何が幸せな選択なのか、まずはよく考えて言語化してみることが悩みを解決する第一歩かもしれません。
自分の価値観や幸せを考えた結果「子どもをもたない」生き方を選ぶのは立派な選択だと思います。
女性の場合|子どもが欲しくならない理由
1. キャリアや自己実現との両立不安
出産・育児によるキャリア中断のリスク、「自分の夢や今のライフスタイルを大切にしたい」という思いを抱える女性は多くいます。
これは現代では男女共通の悩みとなりつつありますが、特に身体的負担を伴い、出産後も「母親」として子どもから多くを必要とされる女性には切実な問題です。
「子どもを持つ」という決断は人生の大きな転換を意味します。
一方で社会には「仕事・家事・子育てをすべてこなすスーパーウーマン」も存在します。そして、その姿こそが、目指すべき理想の母であるという風潮もあります。
子育てと仕事を両立する自信がなくても「自分もそうしなければならない」というプレッシャーを感じる女性も多いです。
私自身もこれらの葛藤は大きく存在し、子どもを持つことに前向きになれていないと感じています。
2. 出産や育児への身体的・心理的ハードル
- 出産の痛みやリスクへの恐怖
- 産後うつや体調不安への懸念
- 「母親らしくできるのか」というプレッシャー
「痛い」「つらい」「大変」──そんな言葉が並ぶ体験を望む人は多くありません。現代では無痛分娩や帝王切開といった選択肢もありますが、身近に経験者が少ないことで不安が増すこともあります。
私は友人のこんな言葉でふと「子どもっていいかも」と思えた経験があります。
「出産や育児は思ってた100倍大変!!でも、生まれてきた赤ちゃんが200倍かわいくてすごい幸せだよ!」
身近な人の幸せな出産、育児を見ること聞くことは、出産育児にポジティブな印象を持つにあたって、とても重要な要素なのではないかと思います。
また、私はADHDと不安障害を抱えており服薬を続けなければ生活が安定しません。
しかし妊娠中は薬をやめなければならず、睡眠や集中力の問題が悪化する恐れがあります。
こうした体調や特性と出産・育児の両立への不安は、私にとって大きな要因のひとつです。
さらに現代では、ネットや書籍に「理想の子育て情報」があふれています。
それを目にするたびに「母親らしくできるのか」「しっかり子育てできるのか」そんな不安を覚えることもあります。
3. 社会的サポートの不足
- 保育園不足や育児支援の限界
- 周囲に支えてくれる人がいない孤独感
特に地元を離れて暮らしている人や支援が不十分な地域では深刻です。「自分ひとりでなんとかするしかない」という状況は、想像以上に大きな負担となります。
4. 親との関係性や過去の経験
幼少期に愛情を感じられなかった経験や、暴力・ネグレクトの記憶は「自分も同じことをしてしまうのでは」という恐れにつながります。
私自身も極貧困家庭で育ち、親はこだわりが強く、家庭には怒鳴り声が絶えませんでした。その経験から「自分が温かい家庭を築けるのか」という不安を抱えています。
また、項目として設けてはいませんが、女性でも当然、自分の人生に子どもや子育ては必要ない、という価値観を持っている人もいると思います。
私は子どもは大好きですが、別に自分の子供じゃなくてもいいかなと思っている節があります。
私の場合の自己分析
私はこの記事に書いたすべての項目に共感しながら執筆しました。
もともと「一人で働いて人生を終える」というキャリアプランを描いていたため、その計画が崩れることに不安を感じています。
さらに、
- 出産の痛みへの恐怖
- 薬をやめるリスク
- 経済的な不安
- 親のサポート不足
- 過去の家庭環境
- 子どもが障害を抱えていたらどうしようという心配
こうした不安が複合的に絡み合い、「子どもを欲しいと思えない」気持ちにつながっています。
それでも、この記事を書きながら自分の気持ちを整理できて改めて感じたのは、
この気持ちを自分の中だけに閉じ込めず、パートナーと率直に話すことの大切さでした。
そうすることで不安を少しでも二人で減らしていけるかもしれませんし、思わぬ解決策が見えてくることもあるかもしれません。
そして「一人で悩んでいるわけではない」と思える安心感にもつながります。
一番大切なことはネット上のほかの人の体験や考えではなくて、大切な人や自分との対話なのかなと思います。
まとめ
「子どもが欲しくならない」のは、単なるワガママや欠陥ではなく、社会的背景や個人の経験に基づいた自然で正当な感情です。
大切なのは、
- なぜ欲しくならないのかを冷静に理解すること
- 一人で抱え込まず、パートナーや信頼できる人と対話すること
あなたの悩みに少しでも参考になる情報がここにあれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。