ひとりの時間がないとストレスが溜まる人の特徴5選|心理学的な理由と対策

「一人の時間が必要な人」には、特定の特徴が見られることをご存じですか?

長時間他人と一緒に過ごすとストレスが溜まりやすい人には、共通の特徴やいくつかのパターンがあるとされています。
自分がどの特徴に当てはまるのか
いつも一人でいるあの人はなぜ一人でいることを好むのか——
この記事を読むことで、その理由を理解することができるかもしれません。

本記事では、心理学的な文献を基に、「一人の時間が必要」な人の特徴をいくつかのパターンに分けて仮設し、それぞれ 一人で過ごす時間を大切にする理由 について探っていきます。


1. 内向的な性格

「一人の時間が好き」な人は、内向的な性格の傾向が強い人が多いとされています。
当たり前のことのように感じるかもしれませんが、これは見過ごされがちな重要な特徴の一つです。

内向性とは、自分の内面に向かうエネルギーの使い方を指し、外的な刺激よりも内的な刺激を好む特徴を意味します。
一般的には内向的というと「静か」「無口」「コミュニケーションが苦手」といった先入観を持たれることがありますが、実際には 明るく、コミュニケーションが得意な内向的な人 も存在します。
明るいことと内向的なことは矛盾しない性格的特徴です。人とのコミュニケーションも好き、だけど自分だけの考えに没入したり、趣味に没頭したい。そんな活発かつ内向的な人も多く存在します。内向的な人は、他人と長時間一緒にいると疲労感を覚えやすく、一人でいることでエネルギーを回復します。
そのため、むしろ 人前では明るくふるまっている内向的な人ほど、誰とも関わらない一人だけの時間を大切にする必要がある といえます。

心理学者カール・ユングの研究によると、内向的な人々は 外部からの刺激に敏感 で、人との接触が増えるとストレスが蓄積されやすくなるとされています。一人の時間を確保することで、心身のバランスを保ちやすくなり、パフォーマンスや精神的な健康が向上します。内向的なところがあるかもしれないと心当たりのある人は積極的に一人に時間をとってみるとよいかもしれません。また友人や家族がそっとしておいてほしそうなときは無理に人の輪に戻さずそっとしておくことも大切かもしれません。

✔︎ ポイントまとめ

  • 内向的な人は一人でエネルギーを回復する
  • 明るい性格と内向性は矛盾しない
  • 一人の時間が精神的な健康やパフォーマンス向上に役立つ

2. HSP/感覚過敏の傾向が強い

人によって音、光、匂い、肌触り、言動の強さなどに対する感じ方は違います。あたりまえに過ごしている日常の音、光、匂いなどに対しても 非常に過敏に反応する特性 を持っている人は少なくありません。特定の音や、感触だけに特に苦手意識を持っているという人もいます。それらの刺激に個人の許容量を超えてさらされると、心身にストレスが溜まりやすくなります。そのため、感覚過敏の強度が強い、または刺激にさらされる量が多かった場合、結果として一人で静かな場所でリラックスする時間を求めるようになります。

近年、HSP/高感受性の人(HSP: Highly Sensitive Person)に関する研究でも、周辺環境からの刺激が過剰になるとストレスの原因になると明らかになっています。もしあなたやあなたの身近な人が耐え難い感覚過敏によるストレスを避けられない状況にいる場合、彼らにとって一人の時間は単なる「静かな時間」ではなく、心の安定を保つための重要な時間です。

✔︎ ポイントまとめ

  • 感覚過敏の人は過剰な刺激を避ける必要がある
  • 一人の時間はリラックスと回復の場
  • 無理に刺激的な環境に戻さない配慮が重要

3. 深く考えることが好きな性格

幼いころからの習慣や個性の一つとして、深く物事を考えることが好きな人は1人でいることを好む傾向があります。これは内向的な性格と似た特徴ですが異なるのは「意図して」「前向きなエネルギーを持って」深い思考に没入している傾向があることです。このような人の多くは自分の考えやアイデアを自由に巡らせ、内省することで新たな発見をします。彼らにとって他人からの干渉が少ない環境は、創造性や問題解決能力を高めるために必要な環境です。そのため意図して一人の時間を取りたいと強く願っている人も多く存在します。

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究でも、一人でいる環境は周りに人がいる環境より創造的なアイデアを生み出しやすいことが示されています。そのため深い思考を好む人々は一人の時間を意識的に確保しようとします。もし創造的なアイディアを生み出したいと考えている場合は、一人になって深く志向を巡らせる時間を持ってみるのもいいかもしれません。

4. コミュニケーションで疲れを感じやすい性格

長時間のコミュニケーションや人とのやり取りによって疲れを感じる「社交疲労」は、誰もが共通して経験するものです。しかし、特に内向的な人や感覚過敏の人は、他人と一緒に過ごす時間が長いほどストレスを強く感じやすく、一人で過ごす時間が必要です。

ある研究では、社交疲労が蓄積されると、長期的に心理的な健康に悪影響を及ぼし、うつ病や不安障害のリスクを高める可能性があることが示されています。内向的な人や感覚過敏の人は、「自分はコミュニケーションで疲れを感じやすい」ということを自覚して、一人で過ごす時間を確保することが大切です。

5. 自己効力感が高い人/明確な目標を持っている人

意外に思われがちですが、高い自己効力感を持っている人も一人の時間を大切にする傾向があることが分かっています。自己効力感とは、自分の力で目標を達成できる、自分にはその力があると信じられる自信を指します。自己効力感が高い人は、一人で過ごしていても自分は大丈夫、と感じる安定したメンタリティーを持っていることが多く、自然と一人で過ごす時間が増えていることがあります。また、一人の時間を使って自己成長に向けた努力をしている場合も多いです。一人の時間を通じて、スキルや知識を磨くことで、自己効力感がさらに高まる好循環を生み出しているのです。

心理学者アルバート・バンデューラの自己効力感に関する理論では、自己効力感が高い人は、困難な状況でも挑戦を続ける傾向があるとされています 。一人でいることで、彼らは自分自身と向き合い、自分の目標に向かって着実に前進することができるのです。

  1. Jung, C. G. (1971). Psychological Types. Princeton University Press.
  2. Aron, E. N. (1997). The Highly Sensitive Person: How to Thrive When the World Overwhelms You. Broadway Books.
  3. Amabile, T. M. (1996). Creativity in Context: Update to The Social Psychology of Creativity. Westview Press.
  4. Schaufeli, W. B., & Bakker, A. B. (2004). Job Demands, Job Resources, and Their Relationship with Burnout and Engagement: A Multi-Sample Study. Journal of Organizational Behavior, 25(3), 293–315.
  5. Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. W.H. Freeman.

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